×× 様
園田@北極しろくま堂です。ご懐妊おめでとうございます。
お問い合わせいただきまして、ありがとうございます。
私にとっても興味深い内容だと思いました。今までさまざまな取材を受ける中でそのような内容に触れたこともありましたが、実際に記事になったものがないのです。
私が知り得ることをお伝えしたいのですが、めっちゃ長くなります。
どうかお付き合いくださいませ。
1 日本のお母さんのコドモの抱き方は、ファッションと深く関係しているようだ’について
ファッションとの相関性についてですが、スリングは生地をふんだんに使用するため身体に占める面積がかなり大きくなります。そのため、服装とあわせやすいということを念頭において選ぶ方が多いですし、実際私もそのようにして商品(自分が使用する場合)や生地(製造する場合)を選んでいます。
もしくは編集長さんの「ファッション」というのはエコとかロハスとか、そういう意味でしょうか?
であれば、以下の潮流もあります。
元々、日本人の子育ては「赤ちゃん桶」に入れる、あるいは「おんぶ」でした。軽くあやすなどの場合は抱っこもあったようですが、基本的に戦前は誰もが忙しい。女性でさえ家事労働は相当なものでしたし、江戸時代などは男性も普通に子育てに参加していたようです。
戦後もおんぶが主流でしたが、「山口百恵さんが赤ちゃんを自分の前面に抱っこしていることがマスコミで報道された時からおんぶ紐が衰退し始め抱っこ紐(前抱っこ)に変わってきた」と、戦直後からおんぶ紐メーカーを営んでいた(現在廃業)社長に聞きました。
弊社が扱っているスリングは1985年頃アメリカで商品化されたものですが、スリング形状のものは世界中の広い地域で数百年以上は使われていると言われています。バリ島では今でも普通に布一枚で抱っこしますし、アフリカもしかり。
スリングが日本に入ってきたのはだいたい5〜6年前です。
戦後GHQによりアメリカ式の育児が取り入れられてきた日本ですが、本家のアメリカでは70年代以降はこのような自立を促すような育児はもしかしたらダメなんじゃないかみたいな流れが生まれてきたと言われています。
そこで、「アタッチメント・ペアレンティング」(ふれあいのある子育て)や「ボンディング」(赤ちゃんとの絆づくり)が取り上げられるようになってきました。
その流れから母乳育児も注目されるようになり、母乳で育てる=赤ちゃんとお母さんはいつも一緒 という考えからスリングが見直され、商品化されたようです。
日本でも母乳育児を推進・支援するLLLという団体が自団体の会員向けに商品となったスリングを90年代の初め頃からごくごく少量輸入していました。
もともとスリングやおんぶひもなど、伝統的に使われてきた育児用品は「Baby Wearing」「Wear the baby」するものです。赤ちゃんを身にまとうというコンセプト・・というか、それをしないと生活できませんから。
(女性が育児だけに専念できるのはせいぜい産後2〜3週間@昭和30年代くらいまで。家電製品が発達したら家事形態が変化した)
欧米では数百年前からは赤ちゃんをぐるぐる巻きにして(スォドリングと言います)でベッドのような所に寝かせて育てていたようです。クリスマスに出回るブッシュドノエルのイエスがその格好をしています。その棒状の赤ちゃんを持って移動したり、車輪がついたものに乗せて運んだことから乳母車が出来たようですが、この因果関係ははっきりしていません。
ちなみに今でもヨーロッパではおんぶは「野蛮なもの」と思われているようです@特に上流階級。
今の先進諸国には「Baby Wearing」的な商品と「baby Carriers」があります。弊社で扱っている商品はすべて「Baby Wearing」のものですが、一般的に出回っている大手メーカーのものはすべて「baby Carriers」に属します。
それほど工業製品が出回っていない国の人々は100%「baby Wearing」で赤ちゃんを育てながら生活しています。
最近の日本では一部ではアタッチメント・ペアレンティングが見直され(子育てをそう捉えることが生活スタイルに方向をもたらしていると思います)、その視点からスリングやおんぶひもを選ぶ方もいますし、スリングが便利で楽だからという理由からエントリーされる方もいます。どちらも正解だと思います。
2 おんぶひもを使っているかどうか
弊社ではおんぶひもを月に数百本販売しています。胸の形がわかる「バッテンおんぶひも」にそれほど需要があるとは誰も予想していなかったようです。
前述のメーカーさんからも当初は「そんなの使う人いませんよ(売れませんよ)」と言われ、大手新聞の記者からは「調べたところ、国内最大級の赤ちゃん用品店の取扱量より、(弊社の販売量が)数倍多い」と教えられました。
で、みんな使っています。でも見かけないのはその格好で外出しないからです。
なんだか、書いてみたら××さんの求めていた回答はほんの数行で終わるような内容でしたね。
長々とごめんなさい。
取材のご参考になれば幸いです。